連載 わたしのため・からはじまる在宅介護・12
―在宅ケアをデザインする・1―ケアは乱調にあり
川口 有美子
1
1NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
pp.1124-1125
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100763
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「美は乱調にあり」,荒れ果てていた私に高校同期生のMが送ってくれたエール。その頃,私は母の介護で外出もままならないのに,世間は21世紀を迎えお祝いムード。なんで家族だけで介護しなければならないの? 親の介護の犠牲になるなんて。ルサンチマン(憎悪や妬み)の感情の発露を私は唯一社会に向かって開かれた窓,同窓会のメーリングリストに求めたのでした。
配信されてくるメールに垣間見る昔なじみは充実した日々を送り,近未来の夢を描いている。それなのに私は自分の人生を投げ捨てて母の介護をしている……。次第に私の発言は介護の愚痴に留まらず,政治思想的傾向が強くなりましたが,昔の仲間たちにだけはマイノリティの現実を知って欲しかったのです。多くの人には私が何を言っているのかまったく伝わらなかったようでしたが,Mには神経難病の父親の介護体験がありました。そして私にアナキストの残した言葉をそっと教えてくれたのです。
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