発言あり
在宅ケア
pp.613-615
発行日 1983年10月15日
Published Date 1983/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206758
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医療・保健従事者との密接なチームプレーを
老人保健法の施行とともに脚光をあびてきたものの1つに在宅ケアがある.もちろん,在宅ケアは患者家族にとって大きな負担がかかることから,新聞,雑誌,テレビや小説などで以前から何回となくとりあげられてきたテーマでもあった.しかし,この法律によって訪問指導が保健事業の1つとして正式に位置づけられたことから,指導の対象となる在宅の寝たきり老人をはじめとする患者のケアに,漸く光が当ってきたといってよいだろう.現場ではこの指導にあたるマンパワーの中心となるべき保健婦の数が足らず,全国どこの養成施設でも定員数を増やして人材の確保からはじめているのが実情である.
一方,この問題を患者家族の側からみると,在宅ケアの中心となるべき家族の方はいまやほとんどが核家族化し,親が老齢化する時点ではもはや子供は独立し,老人夫婦または単独老人世帯となっているのが実情である.実際上在宅ケアを行いうる家族の揃っている三世代世帯は,昭和56年の厚生行政基礎調査では16%にすぎず,60歳以上の老人のいる世帯だけについてみても30%は単独,または老夫婦だけの世帯になっている.したがって在宅ケアがどの程度まで成り立つかを考えるとき,老人保健法が目指すような家族の下での医療は必ずしも実現可能とはいえないであろう.このような傾向は益々強まりこそすれ緩和されることがないであろうと考えれば,老人養護のための各種中間施設の整備は何よりも急がれるのである.
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