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第27回日本看護科学学会学術集会 シンポジウムⅠ
ひととケアと地域をつなぐ在宅ケアのニュー・デザイン
New Designs for Home Care: Connecting People, Community, and Nursing
小池 智子
1
,
山田 雅子
2
,
永田 智子
3
,
堀井 とよみ
4
,
村松 静子
5
1慶應義塾大学看護医療学部
2聖路加看護大学看護実践開発研究センター
3東京大学大学院医学系研究科
4滋賀県立大学人間看護学部
5在宅看護研究センター
pp.73-79
発行日 2008年3月20日
Published Date 2008/3/20
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
在宅ケアを取り巻くさまざまな課題
2006年6月に医療制度改革関連法が成立し,2008年4月の本格施行に向けて具体的な準備が進行する中,我が国の在宅医療は大きな転換点に立っている.医療費適正化政策の一環として,急性期から回復期・療養期そして在宅へと医療機能の分化が推し進められる一方で,これらの機能を「つなぐ」連携・ネットワークのシステムの構築は未だ途上の段階である.連携・ネットワークなき医療機能分化は,大量の療養難民を生むのみならず,地域間の医療格差(さらには健康格差)を拡大する誘因となりかねない.医療・ケアの受け手である患者・利用者を中心に据えた柔軟な連携・ネットワークを,医療と福祉関係職種の間,多様な医療・福祉施設間そして地域においてどのようにつくり上げていくかが大きな課題となっている.
また,2008年度から施行される後期高齢者医療制度では,「生活を重視した医療」「尊厳に配慮した医療」「安心・納得できる医療」という基本的な3つの視点の下,後期高齢者にふさわしい医療体系として,治療後の生活を見越した高齢者の評価とマネジメント,在宅(居宅系施設を含む)を重視した医療,安らかな終末期を迎えるための医療などを推進する.このような政策の流れの中,在宅看護の需要は飛躍的に拡大することが見込まれており,2015年には訪問看護利用者数が3倍に伸びるという推測値もある.しかしながら,在宅ケアに従事する看護職員の不足や,訪問看護ステーション数の伸び悩み,在宅で終末期ケアを推進していく上で不可欠な緊急時対応を含めた24時間体制の訪問看護の整備が十分でないなど,大きな課題が横たわっている.
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