特集 婦長・主任のための看護過程と看護診断
自らの主観を大切にしたケアを―訪問看護から生じた看護過程への疑問
新田 幸代
1
1医療法人悠仁会 新田クリニック
pp.702-705
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901980
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看護過程
私は,看護過程は科学的方法論(自然科学に代表される,認識する主体を認識される客体から分離する学問的立場)1)にもとづく問題解決過程であり,患者の健康上の問題を解決・改善するための「アセスメント(情報の収集・分析)・問題の明確化・目標設定・計画・実施・評価」のプロセスであると教育を受けてきた.科学として看護は,主観的にではなく客観的に患者を観察し,的確な判断をし実行することが求められた.そして「看護の実施によって,対象に期待した方向への変化が起こったか評価しなければならない」2)とされた.
看護学校を卒業し大学病院に勤務している間は,そうした看護過程のとらえ方にあまり疑問をもたなかった.そこでは医師も看護婦も患者も「健康上の問題の解決(すなわち疾病からの回復)」を共通の目標としており,多くの場合,医学における科学的方法論は有効であった.患者・医師・看護婦それぞれの役割が違っても,「疾病からの回復」のために「共にいる」ことができていると思っていた.
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