特集 医療事故は防げるか
事故を教育の問題として捉える―基礎教育の立場でできること
野村 明美
1
1横浜市立大学看護短期大学部
pp.603-609
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901045
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はじめに
医療事故防止に関して「基礎教育の立場でできること」というテーマは,私の立場,つまり先日横浜市立大学医学部附属病院で起きた医療事故の当事者に近い立場にある身には,重くつらいものである.しかし,あえてお引き受けしたのは,自分の問題としてこのテーマに答えることが,基礎教育に身を置くものの責務であると考えたからである.
看護が多くの人のヘルスケアに貢献できたとしても,1件の重大な医療事故によって1人の被害者が出れば,その方の健康や命はとりかえしがつかない.事故の影響ははかり知れず,安全でない医療現場に,ヘルスケアへの期待は極度に失われると言っても過言ではない,最近の事故は,リスクマネジメントを看護の本質から捉えることの重要性を教えている気がしてならない.人間の危機に身を沿わせてそこにいるという,看護本来の姿を取り戻すことの必要性が問われているのではないだろうか.
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