今月の考察 医療過失事故
医療過誤における看護婦の主張
石本 茂
1
1参議院
pp.52-54
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913943
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新生児の取り違え事件は,人間社会にあって,まさに悲劇的事件である。わが子を間違えられた二組みの両親が,その後問題をどう解決処理したかを,かつてジャーナリズムは克明に追ったことがあった。私は,こうした事件の背後に見すごされている病院の看護職場の実情を知るものとしてマスコミの報道態度の中に,一種の“興味本位”があることを感じ,少なからずいやな気持ちを感じた。しかし事件のひん発から,世間もようやく看護の実情がどうなっているのか,というところに正しく目を向けてきたように思う。それでも,かねてから口を酸っぱくして事態の改善を要求してきた私どもの感情からいうと,まだまだ実態が十分認識されていないように思うし,とくに政治や行政当局のこの問題に対する態度には真剣味が足りないと感じている。
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