連載 看護経済学―看護サービスの経済評価・9
看護サービスと看護婦の労働力―経済学の視点から
角田 由佳
1,2
1(財)医療科学研究所
2慶應義塾大学大学院・商学研究科博士課程
pp.666-670
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900539
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はじめに
人口の高齢化が進み,疾病構造が急性疾患から慢性疾患へ変容するなか,医療サービスを提供するために欠くことのできない「看護」について,患者のためにどのようなサービスをどれだけ提供するか,という問題はますます重要になっている.今回は,看護サービスの提供(経済学でいうところの「生産」,あるいは「供給」)の際に,給与を支払ってでも必要とされる看護婦(士)の人手(経済学での「労働力」),つまり「労働需要」がどのように決定し,労働力の評価尺度である給与がどのように決定するのか,看護婦(士)による労働力の提供を表わす「労働供給」とあわせて概説する.そして,日本の診療報酬制度のもとで決められる「看護料」が抱える問題を検討しよう.
今回は,経済学の視点のみによる非常に単純化した議論であり,また経済学用語が頻出するため,読者にはなじみにくいかもしれないが,個々の事例の背景にある問題の概略をつかんでいただきたい.
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