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目とブルーベリー
平野 聖治
1
1弘前大学医学部附属病院栄養管理室
pp.414
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909099
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3年前のことになる,温厚そうで大柄な男性(Cさん)が栄養指導を受けに来た.Cさんは年齢52歳,職業は僧侶,身長175cm,体重86 kg(BMI 28.1)で,以前から糖尿病をわずらい,近くの医院に通院していた.しかし,最近,視力低下がみられるようになり,心配になったCさんは,本院の眼科にやってきた.検査の結果,Cさんの目には眼底出血があることがわかった.本人の希望もあり,眼科からの依頼で栄養指導を受けることになったCさんに聞き取りを行ったところ,仕事柄,法事などで会食が多く,最近はアルコールや食事量が増えていたという.ここ3ヵ月間で体重が約5kg増え,自分でも気になっていたらしい.しかし,よくよく話を聞いていくと,Cさんは,毎日小瓶1個のブルーベリージャムを摂っていたことがわかった.事の始まりはこうだ.3ヵ月前,友人が視力回復を願うCさんにブルーベリーは,目に良いと教えてくれた.早速ブルーベリーを用意しようと思ったCさんは,手に入れやすいブルーベリージャムを買い占め,食パンにつけたり,ヨーグルトに混ぜたりして,せっせと食べだしたというのである.
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