増刊号 包括医療と臨床検査
第1章 総論―包括医療とは
2.包括医療と臨床検査
1)マルメ検査項目と保険点数
関口 仁
1
1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
pp.893-904
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101539
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はじめに
臨床検査の診療報酬点数に包括化(いわゆるマルメ)が初めて導入されたのは今から22年前の1981年(昭和56年)4月からである.それ以前は出来高,つまり保険点数×実施数=検査室の収入であり,俗にいう「検査室ドル箱時代」であった.医師が検査を依頼すればするほど検査室の収益は上がり病院経営の増収につながっていた.
国民医療費の推移(図1,厚生労働省資料より)を見ると,1970年度に約2兆5千億円であった医療費は5年後の1975年度には約6兆5千億円,1980年度には約12兆円と,毎年約1兆円ずつ増加していた.
当時の厚生省(現,厚生労働省)は,増え続ける医療費を抑制する1つの手段とし,検体検査に対する包括化を実施することとなった.その後,診療報酬が改定されるたびに包括項目が拡大・強化され,検査室運営が圧迫されてきたことは周知の通りである.
一口に包括化といってもさまざまな包括化が絡み合っており,すべてを理解したうえで検査を依頼し,実施することは不可能に近いことである.同じ検査項目でも病院の機構によっては,外来で実施した場合と入院で実施した場合で受ける包括が異なり,算定できる保険点数が違うことも少なくない.
本項では,2002年度医科点数表の解釈1)に基づき,包括検査項目(マルメ検査項目)と診療報酬(保険点数)の関係についてできるだけ具体的な数値を用い説明したい.
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