特集 授業としての臨地実習
臨地実習教育の授業としての成立
藤岡 完治
1
1横浜国立大学教育学部
pp.94-101
発行日 1996年2月25日
Published Date 1996/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901310
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はじめに
筆者はこの15年来,看護教員養成機関に関わり,教育方法の講義と演習を担当してきた.当初,学校教育の教員養成に携わる者として,そこで蓄えた知識や技術を看護教員となろうとする学生に提供し,あとは学生自身が看護教育の文脈の中で使えるものは使ってくれればよいというのが正直な気持ちであった.
しかし,最近では,看護教育によって深く影響されながら教育方法を考えている自分を見いだして驚くことが多い.その最大のものは授業の臨床的な性格についての認識の深まりである.学生自身が5年以上の臨床経験を有していることからくるのであろうか,彼らは授業を抵抗なく臨床の場としてとらえ,教育方法を臨床の知として直観的に把握するのである.また筆者の担当する講義や演習の時間それ自体が「臨床の場」として経験されることがしばしばだった.「教育と看護が共通の基盤に立っていることがわかった」「看護をもっと教育的関係として捉え直す必要性を強く感じた」といった学生の受講後の感想は,ちょうど筆者が感じていたことを,対極から証言してくれるものであった.
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