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映評 ─『患者さんと心がつながる看護学生の臨地実習ナビゲーション』─看護学独自の「気づかい」の力を学ばせるのに最適の映像教材
川原 由佳里
1
1日本赤十字看護大学
pp.563
発行日 2016年7月25日
Published Date 2016/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200542
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実習のなかで出会った学生たちのことを思い出しながらDVDを鑑賞した。特に初めての実習では,極度の緊張と学生自身の不安定な自己像があらぬ方向へと向かい,不自然なふるまいの学生に出会うことが少なくない。目の覚めるような鮮やかな赤い唇で実習場にやってきた学生Aさん。そしてお立ち台の上の野球選手さながら堂々と報告を行った男子学生Bさん……。DVDのなかで本江先生が「さぁ力を抜いてみましょう……。あなたは,あなたのままでいいのです」とやさしく語りかける場面があったが,その言葉がフワリと着地するように私の心に重なった。
DVDは前半と後半に分かれる。前半は学生が緊張を和らげ,患者さんに関心を向けて「気づかい」を示すための方法である。患者さんの血圧測定を行う場面の映像が流れ,そこでの「気づかい」の違いを考える。二人一組で相手の手をつまむ,掴む,握る,支える,両手で包む体験をさせて,触れられるときの「気づかい」を感じとる。さらに丹田を意識した正しい姿勢,瞑想,腹式呼吸を通じて,自己を調整する方法を体得する。
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