講座 教育の方法
具体的授業展開のために—Ⅰ.教材研究
久保田 信之
1
1学習院大学文学部
pp.749-753
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906943
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
序新制度のねらい
戦後,教育制度が改められた結果,一般普通大学に教職課程が開設されて,有能な人材を教員として世に送り出そうと志向した.これは旧来の師範学校出が,とかくその学力において劣っているとの批判に答えようとしたものであって,例えば国語の先生が国語の学力を十分に備えずして,教壇に立つことのないように,とのねらいからなる制度の改革であったのである.
このねらいは確かに,効を奏したといってよかろう.大学教育のなかで,それぞれの専攻学部学科で修得した,卒業のための単位数の上に,教職に関する専門科目を数十単位履修しなければならないのだから,教員資格をとることはなかなかの努力がいる.能力においても余裕のない学生は,到底,教員資格を取得できないのが現状である.私の所属している大学でも,新入年次に教職課程を履修し,資格を取得しておきたいと志した学生でも,4年次にまでその努力が続き,めでたく資格を手にして卒業できる学生は,当初の7割弱に減少してしまうのである.この点から考えあわせても,教員の学力向上を達成しうる制度と考えてよいと思うし,現実に教職についている例をみても,中学校・高校の場合,大学院修士課程卒が多くなってきているのであるから,専攻学力という面からいえば,相当高いことが期待できる制度なのである.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.