連載 「看護」の意味を見つめる 訪問看護の実践から・10
もし時計の針が戻せたら—夫の最期に立ち会えなかった妻の落胆と判断を誤った私の後悔
藤田 愛
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1医療法人社団慈恵会 北須磨訪問看護・リハビリセンター
pp.296-298
発行日 2020年3月10日
Published Date 2020/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201544
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大切な人を見送る時,「死に目に会う」ことには特別な思いがある。しかし,24時間そばにいて目を見開いてその時を見逃さないようにすることはできない。家族には最後に立ち会いたいお気持ちがあるだろうと思うが,たまたま家族が寝ている時や洗濯物を干している時,ほんの少し買い物に出た時に,ということが多い。
家族には,「患者さんにとっては最後に家族がそばにいたかどうかは大きなことではなく,それまでの何年も,そして亡くなるまでの時間をどう過ごせたかの方が大事なんですよ」と先に説明しておくようにしている。……と言いながらも,家族にとってそれが大切なことであるならば,予測力を磨いて最後の時にそばにいられるようにしたいという思いも捨てられずにいる。
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