報告
夫と死別した妻の介護に対する満足感と後悔
大須賀 惠子
1
,
大澤 功
1
,
加藤 弥和
2
,
水野 多喜子
3
,
菅沼 徳子
3
,
相澤 教子
3
,
太田 靖子
3
,
岩村 さより
3
,
大橋 由美子
3
,
渡邊 美穂
3
,
門田 ふさ子
3
,
石井 さおり
4
,
佐藤 祐造
1
1愛知学院大学心身科学部健康科学科
2みなと医療生活協同組合協立総合病院
3加茂訪問看護ステーション
4幸田町保健センター
pp.514-519
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100116
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高齢化が進みつつあるわが国では,65歳以上の者がいる世帯は三世代世帯が減少し,単独世帯や夫婦のみの世帯が急増している1).こうした中で,長年生活を共にしてきた伴侶の死に伴う,遺族(配偶者)の孤独感,無気力,うつ状態等は,立ち直れないほどの打撃を遺族に与えることになる.Parkes C.M.によると,配偶者の死は特に衝撃が大きく,人生における最もストレスの高い出来事の1つであり,その影響は心身・社会生活等,様々な側面に及ぶと報告されている2).またHampeは,配偶者の死別後の反応として悲嘆・抑うつ反応以外に,思考・行動力の低下,不安,故人への愛着反応等,多面的反応が示され,身体的にも異常が見られると述べている3).
これらのことから,欧米諸国においては,遺族へのグリーフケア(愛する人を失った遺族の死別による悲しみへのケア)の必要性が認識され,実践されてきた4).しかしながらわが国においては,グリーフケアに対する認識は欧米諸国に比べて低く,遺族にはケアされることへのこだわりがあり,よほど困った状態にならない限りケアを求めない傾向にある5).
そこで本研究の目的は,夫と死別した妻を対象として,生前の夫への介護に対する妻にとっての満足感と後悔等を量的・質的に分析することによって,今後のグリーフケアへの手がかりを得ることとした.
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