【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第24話
後悔しない医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.416-421
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203663
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
進路に悩む西畑は、地域実習を行った山梨県鰍沢の白川診療所を再び訪れた。その主である白川鐘春は69歳、黒野をして「究極の診療」と言わしめる、その独特の診療スタイルに影響を与えた知己の存在を語り始めた。その人は向後英、白川は「英さん」と呼んでいる。同期の医師で、何でも話し合う仲だったが、26年前、白血病で他界した。死の目前、向後はこう告白した。「息子の翠は実は甥っ子で、双子の片割れなんだ」と。白川は、その「翠くん」が黒野に瓜二つだと言うが…。
前回、白川は「ある種の能力は一緒に長く時間を過ごすうち、人から人へうつるかのように伝わることがある」と言った。双子には、言葉なしに感情や行動を同一とするような不思議な現象がみられることがあるが、それは遺伝的要因ばかりではないのかもしれない。白川と向後は、臨床での言語化しにくい感覚を、日々語り合い共有してきた。後期研修先の選択に悩む西畑もまた、白川や黒野、筧たちと共に働き語り合うなかで、次なる一歩を踏み出していく。西畑の背中を押したものは?
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