特別記事 [3号連続掲載]『看護管理』創刊20周年に振り返る・1
戦後の看護管理思想の発展過程と今後の課題 1945-1991―占領軍による思想の導入とその後の変遷
草刈 淳子
1,2,3,4
1四日市看護医療大学
2愛知県立看護大学
3前 日本看護歴史学会
4前 日本看護管理学会
pp.1070-1077
発行日 2010年11月10日
Published Date 2010/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101887
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はじめに
21世紀もすでに10年目である。日本の看護は,近代看護教育から120年を過ぎ,2008(平成20)年には,戦後の保健師助産師看護師法制定から60年という歴史の節目も経過した。
「看護管理」を掲げた本誌も,2010(平成22)年を迎えそう刊から早くも20巻を数えるに至った。そう刊号で筆者(当時,千葉大学大学院)は荒井蝶子氏(当時,聖路加看護大学大学院)とともに,初めて国立大学と私立大学の看護管理学初代教授としての立場から,戦後の日本における看護管理の発展過程について対談したのだった。
そう刊号では,「変化」が重要なキーワードとして掲げられていた。この20年間ほど,社会経済は言うにおよばず,現実の医療・看護が急速に変革を迫られてきた時代はなかったのではなかろうか。
こうした環境の急激な変化の中でこれからの進むべき道をより確かなものとするには,これまでの歩みを正しく把握しておくことが必要である。歴史とは,決して「過ぎ去った出来事」だけを指すのではない。現在の看護の姿を正しく認識するためには,現時点に至るこれまでの歩みを通して,その事実の意味を見定めることが不可欠である。
今号から3回にわたり,日本の看護のこれまでの歩みを振り返り,読者とともにこれからの看護管理の重要な課題を確認し,あるべき方向を見定める機会としたい。
第一回の今回は,戦後GHQによる看護職の基盤づくりから本誌がそう刊される1991(平成3)年に至るまでの歩みを振り返りたい。
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