特別寄稿
戦後の看護改革—占領軍の時代を顧みて
ライダー 玲子
1
1ニューヨーク市聖路加病院
pp.601-611
発行日 1981年10月25日
Published Date 1981/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907584
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はじめに
36回目の終戦記念日を迎えるにあたって,占領軍という名のもとに実施された看護改革について考察したい,あの焼けただれた瓦礫の街でさまよう戦争孤児,家を失って野宿する人,伝染病・栄養失調に悩む人々.その悲惨な姿は,戦争を体験した者でなければ理解できないであろう.もう2度と戦争をくり返したくない,というのが切実な願いである.
この悲惨な中からみごとに立ち直った日本は,当時の国民が天皇陛下の玉音にこたえて,堪え難きを堪え,悲しみ苦しみを超えて,各個人の職務に徹し勤勉にその務めを果たしたにほかならない.今は経済大国として世界に誇る日本は,かつての苦い経験を忘却の彼方に追いやり,身近な安逸を好む傾向にあるのは反省すべきである.
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