連載 被占領下(1945-51年)における日本の看護政策・1【新連載】
日本占領
ライダー島崎 玲子
1
1北里大学看護学部
pp.116-122
発行日 1990年2月25日
Published Date 1990/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900021
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連載にあたって
1980年代,50歳を過ぎた私は,まだのんびりとコロンビア大学で修士をとっていた.すでに必須科目のほとんどを終了していた私に,アドバイザーは博士課程に登録するための資格試験を受け,博士論文のテーマを決定するようにと矢のように催促していた.私は博士をとるという意識は全くなかったが,大学にもっと続けて行きたいという気持ちは充分にあった.病院勤務からは感じられない,大学のアカデミックな雰囲気が好きだったし,また米国の看護教育者と接し,看護の未来について話し合うことで,惰性に陥りやすい仕事への情熱を燃やし続けることができたからである.
私は高校時代,英語が好きで,友人からアメリカナイズされているとからかわれたほど,米国志向であった.このような私も,米国に長く住むうちに,自然に日本の歴史の重厚さ,日本人の国民性のすばらしさに気づき始めた.そして米国人のほうが日本人より,よっぽど日本の長い歴史や素晴らしい文化を尊敬していることを知った.米国人は,まことに好奇心のある人種で,日本についていろいろの質問をする.戦争で勉強のできなかった私は,日本の歴史や戦後史に疎く,いつも恥ずかしい思いをした.
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