特集 地域保健活動とボランティア
ボランティアの発展過程と今後の課題
松田 正巳
1
1静岡県立大学看護学部
pp.844-848
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902196
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
海外・日本でのボランティアの発展過程
地域保健領域におけるボランティアというと,PHC(プライマリ・ヘルス・ケア,1978年)の登場以来,話題の絶えることのないヘルス・ボランティアをまず思いうかべる.ヘルス・ボランティアは住民参加の核となる活動であり,その十分な理解は,公衆衛生活動の成立用件の一つにあげられるほど,重要なものである.わが国の公衆衛生活動の歴史を振り返っても,アルマ・アタ宣言の前から,結核予防婦人会,母子愛育会,保健委員,食生活改善普及員,などの活動が全国的に多々ある.また近年は,精神衛生分野や難病,HIV/エイズの分野の地域保健活動においても,ボランティアの果たしている役割は大きい.
国際保健の分野では,政府を補完する活動として,非政府組織・民間非営利団体(NGO)の役割が年々拡大している.国際赤十字の活動のごとく,国際連盟,国際連合,その専門機関である世界保健機関(WHO)などに先立って,民間のボランティア活動が世界の人々の健康に貢献してきた.ノーベル平和賞を受賞した地雷の撤廃運動やMSF(国境なき医師団)も,ボランティアを核とした国際活動の成果である.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.