増刊号特集I 2010年度診療報酬改定から何を読みとるか
―医療コンサルタントが読み解く―病院経営に不可欠な現下の対策と中・長期戦略の備え
伊藤 雅教
1
,
安西 文雄
1
,
明田 健史
1
1株式会社サイプレス
pp.695-701
発行日 2010年7月26日
Published Date 2010/7/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101802
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【今回改定の特徴と注目点】
緩やかな印象の陰で締まった中身
能力や業務を細分化して評価する
診療報酬施策における最近の厚生労働省の行動パターンを見ると,悪くいえば,飴を与えて相手をその気にさせながら,徐々に梯子を外すことを繰り返しているように思えます。今回もその傾向が見て取れます。例えば,2010(平成22)年度診療報酬が“プラス改定”になったといっても,単純に収入が上がると思うのは早計で,一部は上がりましたが,本体の中身をギュッと締めたため,大幅な増収となる病院は意外に少ないのです。
今回の特徴の1つは,急性期を一所懸命やって現場が疲弊してしまった「救急医療」「小児医療」「産科医療」をもつ総合病院には若干追い風になったことです。また,難易度の高いものから低いものまで,さまざまな手術を行なう本来の急性期病院にもメリットが出るようになりました。しかし一方で,例えばDPCを活用する簡便な日帰り手術・ポリペクトミーを看板にしてカテゴリーキラーのような存在だった専門病院はパフォーマンスが下がってしまい,戦略性があまり意味をなさなくなってしまいました。このような傾向は,医療経済政策的な観点から今後も継続されるように思います。
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