連載 広汎性発達障害の理解と援助・3
不可欠な「周囲の積極的なかかわり」
細川 雅人
1
1大阪市城東区保健福祉センター
pp.498-501
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101352
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一般に,広汎性発達障害は幼児期から学齢期の問題と考えられている。ところが,中高年になってから表面化する例も少なくない。介護,看護の担当者から,「家族が些細なことにこだわってクレームをつけてくるので困る」という相談があったので面談してみると,広汎性発達障害と推定される特徴をもつことがわかった。また,「親が要介護状態になっても,必要な手続きができない息子がいる」というので調査をすると,そのときになってはじめて,自閉症をともなう知的障害者だと判明した例もある。いわゆる年金パラサイト状態でひきこもり,すべての支援を拒否して,中年になるまで親と一緒に生活してきた人である。
世の中の仕組みは定型発達者に合わせてつくられており,その仕組みに合わせられない広汎性発達障害者は排除されてしまう。広汎性発達障害者は,環境のほうを本人に合わせて調整しないとハンディキャップを乗り越えられない。ところが,ほとんどの場合は,周囲の理解を得ることも,十分な環境調整を望むこともできない。そのために社会や職場で孤立し,あるいは,家にひきこもって人生を無為にすごすことになる。
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