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病院と緒核豫防法—現下の問題點の批判
高橋 正春
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1厚生省國立療養所課
pp.13-18
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200439
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新しい結核豫防法は,10月1日から醫療機關にとつて最も關係の深い「醫療」の章の施行をみて全面的に實施されたことになつた。「結核の豫防と適正な醫療とを普及させるために,從來の法的な不備を整備して,進歩的な近代醫學の活用を圖ると共に,社會政策としての患者の醫療費の輕減にも意を用いて立案されたもの」と銘うたれている新法の内容については,すでに幾多の解説や批評が行われているから,茲に改めて述べる必要はないと思う。ただ舊法ではその主な目標が,專ら傳染防止に指向されていたのに對して,新法ではそれが一應醫療という新しい分野にも併せ向けられていることから,病院や療養所等の醫療機關がこの法律の運用上に占める役割は從來のそれにくらべると著しく大きくなつたということと,その反面,この新結核豫防法の運用が醫療機關の側にあたえる影響も又舊法の比ではないことは注目に價する。從つて,この法律の條項にもられた主旨や或はその技術的な運用手段が,もし醫療機關の運營に對して不利な結果をもたらすようなものであるならば,折角膨大な豫算の下に計書された新法もその圓滑な運用が期待されないばかりでなく結核對策にとつてかえつてマイナスとなるような事態を生み出す危險性も考えられる。このような見地にたつた場合,新しい法律について醫療機關の側からも更らに十分に検討されねばならない餘地がありはしないだろうか。
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