連載 スタッフの倫理的感受性を高める ナースマネジャーがともに考える臨床倫理――臨床看護師が直面する倫理的ジレンマを紐解く・3
誠実と忠誠:Veracity and Fidelity
竹之内 沙弥香
1
,
田村 恵子
2
,
浅井 篤
3
1京都大学大学院医学研究科医学専攻社会健康医学系医療倫理学分野
2淀川キリスト教病院ホスピス看護課
3熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.250-257
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101702
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誠実とは
本連載の第1回で述べたように,誠実とは,真実を告げる,嘘を言わない,他者をだまさない義務であり,看護実践において重要な倫理原則の1つである1)。患者と医療者の良好な人間関係は,患者が信頼して医療者に身を委ねることを可能にし,患者の治療によい影響を及ぼす。そのような信頼関係を築くためには医療者が患者に対して誠実であることが不可欠なのである。さらに,前回で述べたように,自律とは,患者がどう生きるか,どのような治療を受けるかということを自分で決めることである。自律性を発揮するためには,患者は自分の病状や治療について正確に知る必要がある。したがって,真に患者の自律を尊重するためには,診断結果や治療の内容について,ごまかさずに真実を告げなければならない。その際の留意点は以下の4つである2)。
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