自己自身として生きるために/人間学的断想・3
助力的関係の問題—自己自身にたいする誠実なかかわりかたと他人自身にたいする誠実なかかわりかたについて
谷口 隆之助
1
1元:八代学院大学
pp.593-597
発行日 1976年9月25日
Published Date 1976/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907028
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人間関係のゆがみということ
前号で‘関係’ということは人間の根本の存在のしかたである,と言った.そしてまた‘孤独’ということも人間の根本の存在のしかたなのだと言った.ひとは他人との関係のなかで自己自身としての孤独な存在を生き,また,自ら孤独な存在として他人との関係を生きていくのである.そして,これが人間であるということの根本のありようなのであり,人間として生きるということの本来の姿なのである.
しかし,それにもかかわらず,実際,わたしたちの実人生にはいわゆる人間関係のゆがみに由来する悩み,苦しみ,また不平,不満,あるいは憎しみ,猜疑などが,満ちみちているのであり,そのために自殺や殺人まで生じてくるのである.いったい,人間関係のゆがみと呼ばれているようなこのような状況がなぜ生じてくるのであろうか.
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