連載 サービス・イノベーションの経営学・3
医療保険・医療供給システムに見るサービス疲労
松下 博宣
1
1東京農工大学大学院技術経営研究科
pp.244-249
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101701
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日本国内から日本の医療サービスシステムを眺めるとき,問題点ばかりが目につきますが国際的な評価は少なくとも2000年ぐらいまでは相当に高いものでした。世界保健機関(WHO)は2000年,2001年,連続して「日本の医療システムは世界一である」という評価を公式に発表しています。日本の医療サービスシステムは,さまざまな問題,ほころび,修正箇所を抱えながらも,国民皆保険制度を維持してきており,「誰でも・いつでも・どこでも」医療サービスを受けることができるフリーアクセスを中心理念として設計,運営されてきました。
しかし,患者側も医療サービス提供者側も,日本の医療サービスシステムの現状については不満が非常に大きく,政権交代をはさんで政府は相次いで医療改革の必要性を訴えています。近年では「医療崩壊」といった言葉も頻繁に使われています。いったい,どこに大きな問題が潜んでいるのでしょうか。
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