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はじめに
わが国の医療政策,急性期病院や特定機能病院の在り方,国立大学病院の在り方をふまえると,病院収益向上は不可欠であり,病院収入を増加させる最も取り組みやすい手段として,手術件数の増加が挙げられる。そして,この手術件数増加に比例し手術部看護師の負担も増加の一途をたどっている。
旭川医科大学病院(以下,当院)では10年前と比較し1.74倍へ増加している。本年度はさらに6000件を優に超える勢いとなっている。(図1)
手術件数の増加分を時間外手術や臨時手術で補うため超過勤務が常態化している環境に加え,日々進歩する手術手技,医療材料・機器など,より高度化・専門化する医療への対応をしていかなければならない。このような現状の中,手術部看護師には専門職として,手術医療の質の向上,安全の保障を頂点に,器械出し看護師の熟達したスキルや外回り看護師のマネジメント力などが強く求められるが,その最も基礎となるものは代弁者としての機能・役割を果たすということにあると考える。これは手術部だけではなく看護師としての基本的で重要な機能・役割であり,全身麻酔のほか,特殊な環境下にある手術部においては,より一層その機能・役割は大きくなると考える。
手術部看護師長として,手術部看護師がこれらの専門性を十分に発揮できるように労働環境を整備していくことは,手術を必要とする患者さまと,安全で良質な手術看護を提供していく手術部看護師のため,喫緊の課題であると考える。
この課題解決のために手術部看護師長として次のような行動が重要ではないかと考える。それは,Ⅰ.手術部長とともに病院経営執行部との連携を充実させること,Ⅱ.実践している看護に誇りがもてる環境づくりである。この2点について当院の現状と課題,取り組みについて記す。
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