特集 周術期看護を取り巻く諸問題
手術看護における質保証の仕組みづくり―認定看護師の活用と予防倫理に基づく実践
酒井 富美
1
1松山赤十字病院
pp.111-116
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101672
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はじめに
医療制度改革の進展に伴い医療の提供体制が変化し,急性期病院においては,高速回転が余儀なくされており,加速する手術室運営の効率化の中で,いかに質を保証するかということが大きな課題である。
また,医療技術の進歩や医療費抑制,医療従事者の不足,人々の価値観の多様化は,従来の価値観では対応しきれない複雑な倫理的問題を生じさせている。
そのなかで,手術室は,患者擁護ならびに安全の保証の仕組みの中に,患者や家族が参画できないなど密室性が高いこと,高度な治療を行なうため医療事故のリスクが高いこと,先端医療や技術への緊急対応が要求されるという特徴がある。それゆえ,手術室看護師には,生命を医療者に委ね心身の危機的状況にある患者の生命と尊厳を護っていくことが求められている1)。
認定看護師制度は,1995(平成7)年に日本看護協会の資格認定制度として発足し,2009(平成21)年8月の時点で5794名が認定されている。期待されて制度化された認定看護師が看護の質向上にどのように貢献しているか,その実践の有用性を明らかにすることは重要である2)。
そこで,手術看護における質保証の中心に予防倫理3)を位置づけ,手術看護の高度な実践者である認定看護師を積極的に活用し,予防倫理に基づく実践を推進していくことで,手術看護の質保証に貢献できるのではないかと考えた。本稿では,この手術看護の質保証について,倫理的側面からの一事例として,アクションリサーチによるプロジェクト研究とその成果について紹介したい。
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