特集 チームで取り組む医療安全――for the next decade
病院全体で取り組む医療安全文化の醸成―ブランドは自分たちで創る
井上 文江
1
1株式会社麻生 飯塚病院 医療安全推進室
pp.1122-1128
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101632
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はじめに
医療安全が声高にいわれるようになって10年余が経過し,病院においても産業界では一般的な“カイゼン”活動が広まってきている。当院でも2000(平成12)年に医療安全管理委員会(Medical Risk Management:MRM委員会)が設置され,看護部では業務改善委員会でインシデント・アクシデント報告の収集を始めた。データ収集とそのトレンド分析を行ないながら,システム改善に取り組んできたが,病院全体の医療安全活動を鑑みるとMRM委員会だけでは,その役割を十分に果たしているとは思えなかった。
このような状況のなか,2005(平成17)年には飯塚病院(以下,当院)でISO9001認証のための活動が始まり,医療の質向上に向けた取り組みを通じて,医療安全体制の再構築も行なってきた。専従で安全活動を担う「医療安全推進室」の設置と各現場の医療安全をリードするセーフティマネジャーを任命し,このセーフティマネジャーが「分析・対策立案部会」を構成したことで組織的な活動が可能となった。
これらの活動を通して,病院全体での医療安全活動の推進には院長方針はもとより,各組織のリーダーシップが大きく影響し,さらにこれらを支えている基盤の一つが“安全文化”であると考えるようになった。病院全体の安全文化の醸成をめざして当院がこれまで取り組んできた活動のなかからいくつかを紹介する。
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