特集 看護組織の人材マネジメントストラテジー
新人教育から始める人材マネジメント―医療安全文化の醸成に向けて
桑原 安江
1
1京都大学医学部附属病院
pp.679-684
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901697
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はじめに
当院では,今年度も100名を超える新採用看護師を迎えた。その内新卒者は81%を占める。1日も早く病院に慣れ,生き生きと看護業務を実践してもらいたいと,教育委員会が中心となり,4月1日から50間にわたって新採用者オリエンテーションを実施した。
筆者は,昨年度から副看護部長就任と同時に,病院全体の総括リスクマネジャーとなった。課題は,1年間のリスクマネジメント活動を通して,新人教育で何を教えるのか,リスク感性をどのようにして育てていくかであった。特に2000年,当院で発生した人工呼吸器に関連する医療事故の経験から,従来の看護部内の教育だけではなく,安全に特化した教育が必要であると考えていた。特に新採用者オリエンテーション期間中の看護技術指導は,教育委員がその役割を担ってきたが,安全に関する内容は,個々の項目毎に,確実な実施の指導として包含されていた。しかし,安全管理の視点からの教育は,病院の組織である安全管理室(筆者と旭当看護師長は安全管理室員)が主体となって責任を果さなければならない。そして看護部内の教育委員と連携しながらそれぞれの役割を明確にして,リスクマネジメント,安全管理の切り口で,組織のあり方を考えながら,新人教育に取り組む必要性を感じていた。
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