特集 チームで取り組む医療安全――for the next decade
「足し算」から「引き算」の改善へ 5Sの考え方から
矢野 真
1
1武蔵野赤十字病院 医療安全推進室
pp.1116-1121
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101631
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はじめに――なぜ,5S?
今,多くの病院が5Sに取り組み始めている。5Sとは,整理(Seiri)・整とん(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketsu)・しつけ(Sitsuke)の頭文字の5つのSのことである。企業では以前から行なわれている活動であるが,ビジネス書のコーナーに今でも新しい5Sの本が並んでいるところをみると,病院だけでなく,企業においても新たに5Sを導入し始めているところが多いのであろう。
ところで,なぜ,今になって,5Sなのだろうか。病院も企業も5Sの目的や導入理由はさまざまであっても,これまでがむしゃらにがんばってきた時代があり,その結果,業務量が増大し,プロセスも複雑になり,ものもあふれて,労働環境が窮屈で身動きがとれなくなったという背景があるのではないか。限りある資源のなかで,右肩上がりを永遠に続けることは不可能で,このまま進んでいけば,必ず破綻することは自明であり,それが必ずしも遠い将来ではないことをなんとなく感じ取っている私たちが,自然と5Sに目を向けるようになったのかもしれない。
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