特集 これからの医療安全を考える
インシデントレポートを通した医療安全文化の醸成
長尾 能雅
1
1名古屋大学医学部附属病院 医療の質・安全管理部
キーワード:
インシデントレポート
,
WHO患者安全カリキュラムガイド
,
促進的インシデントモニタリング
,
医療事故調査制度
,
質管理
Keyword:
インシデントレポート
,
WHO患者安全カリキュラムガイド
,
促進的インシデントモニタリング
,
医療事故調査制度
,
質管理
pp.844-849
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200028
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■医療安全黎明期の象徴“インシデント報告システム”
2002年に厚生労働省が医療機関内におけるヒヤリハット情報の収集と分析など,いわゆるインシデント報告システムの導入を奨励してから12年以上が経過した.この間,多くの医療機関においてインシデント報告を端緒とした業務改善や,事故対応が進められるようになった.当初は大学病院や特定機能病院など,大規模医療機関を中心に導入されたシステムであったが,特に2006年の第5次医療法改正以降は,クリニックなどの小規模医療機関群にも同様の取り組みが広がり,インシデント報告システムは多くの医療現場にとって身近なものとなりつつある.わが国において,2000年以前にはこのような取り組みがほとんどなかったことを顧みれば,同システムの導入は,専従・専任医療安全管理者の配置や,医療安全管理マニュアルの整備などと並び,医療安全管理の黎明期を象徴する,代表的な取り組みの一つであったといえる.
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