特集 チームで取り組む医療安全――for the next decade
病棟での急変対応システム構築に向けたシミュレーションを含む臨床教育の方法
浅香 えみ子
1
1獨協医科大学越谷病院看護部
pp.1129-1135
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101633
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はじめに
急変時対応は医療安全の観点から重要な側面である。そのために,多くの医療機関では,一次救命処置(BLS:Basic Life Support)の研修を実施している。しかし,臨床を管理する看護師長はこれで全ての患者の命を守れると考えているだろうか。実際にBLSを実施した事例において,患者の命を守り抜いているのであろうか。多くの読者は,否定的な見解をもたれると思う。
実際の臨床実践の場面では,患者を危険にさらすことのないように安全管理を行なっているに違いない。しかし,患者の生命が大きな危険にさらされる急変が起きたのちの対応に対してだけ教育プログラムが存在しているということに矛盾を感じる。
実際には「異常の早期発見」という看護実践で対応しているはずであるが,その教育プログラムは患者の命を守ることを保証できる内容になっているのであろうか。臨床実践で有効に活かされているのであろうか。学習期待に対して,有用な研修企画がなされておらず,教育内容と臨床実践が乖離している現状がある。臨床における教育は,個々人の学びを臨床実践のパフォーマンス向上につなげるところまでを包括するべきである。
この項では,医療安全として保証するべき急変対応への臨床教育を,臨床における看護教育の課題とともに,教育担当者および看護管理者の人材育成の方策として提案する。
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