連載 病院が変わるアフリカの今・9
出産ケア改善と結びつく5S-KAIZEN
後藤 美穂
1
,
池田 憲昭
1
1独立行政法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力局
pp.678-679
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102339
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セネガル共和国(以下,セネガル)は西アフリカのサハラ砂漠西南端に位置する,面積約20万km2(日本の半分程度)の国である.同国は1960年の独立以来,一度もクーデターを経験しておらず,内政上高い安全を維持してきた.今年3月の大統領選挙も平和裡に行われ,12年間のワット政権から新政権へ平和的,民主的な形で国民の意思が示されたことは,この国の成熟した民主主義を象徴していると言える.
タンバクンダ州とケドゥグ州は首都ダカールから約450km,モーリタニアなどとの国境に接する貧困州の1つである.母子保健指標は表の通りで,保健医療施設や熟練分娩介助者,包括的緊急産科ケアへのアクセスの悪さを示している.加えて女性の地位・決定権の低さ,早婚,女性性器切除などの社会経済文化的要因が,首都に比較して極めて高い妊産婦死亡率,乳児・5歳未満児の死亡率の原因となっている.
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