特集 労使関係—今後の展開
労使関係改善のためのTQCの考え方とその導入
師岡 孝次
1,2
Koji MOROOKA
1,2
1東海大学・工学部経営工学科
2日本医師会
pp.316-319
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208279
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病院内の労使関係改善の一つの力策としてTQCをどのように導入したらよいのか,また成果の上がっている例も含めて紹介するよう依頼を受けたので,病院経営の現状,病院のTQC,その導入と推進,TQCと労使改善などについて取り上げてみた.
病院(Hospital)はホテル(Hotel)の語源と同一のルートを持っており,人間が人間にサービスを提供することに変わりはないが,ホテルでのサービスに関する品質管理(Qu—ality Control,QC)活動は,ものを生産する一般企業のそれと比較して極めて困難である.それはサービスが本質的にものと比べて無形でありとらえにくいことが大きな理由とされている.病院はホテルにもまして更に難しい.単にお客の接待や客室の整備だけでは十分ではなく,サービス対象が健康でない患者であり,患者の病状は各人各様である,まさにそこでの仕事(治療や看護など)のやり方は多品種少量でその内容も時々刻々変化しており,またこのサービスを提供する人間も医師,看護婦,パラメディカルと高度に専門化された集団であり,作業内容もほとんど手作業が中心でる.更にその作業に習熟するには長年月を必要としており,経営者,管理者,作業者の職能分化がこの専門性とからみあって労使関係を一層複雑にしている.
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