焦点 米国の看護麻酔師・周術期ナースプラクティショナーの役割と業務の実際
ナースプラクティショナー導入論争のなかで気づくこと―米国での麻酔科医・集中治療医としての臨床経験をふまえて
讃井 將満
1,2
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科
2自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部
pp.955-961
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101595
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日本型の看護業務拡大,ナースプラクティショナーの導入を
私は,1993(平成5)年に医学部を卒業し日本で麻酔科専門医を取得した後,1999(平成11)年から約6年間,米国で麻酔科医・集中治療医としてのトレーニングを積んだ。その間,看護をベースとしながらも,日本で見慣れた看護師とは全く違う業務を行なう人々が有機的に働くのを見ながら育った。なかでも,専門分野に関して医師と同様な診断・治療を行なうことができるNP(Nurse Practitioner)や,専門分野の医療業務を補助するPA(Physicians Assistant)1),麻酔科医と同等な麻酔業務を行なうCRNA(Certified Registered Nurse Anesthetist)2)などの存在は驚きであった。
2005(平成17)年に帰国すると,医師の相対的・絶対的な不足から多くの国民が不利益を被ることが社会問題になりつつあった。その解決策の一つとして,看護師の業務拡大を図り,医師が行なってきた業務の一部を訓練を受けた看護師に担当させること,また,米国のNPなどを参考に拡大された業務を担当する職種を確立しようという動きは,4年経過した現在では無視できない動きとなっている。議論の混乱を避ける目的で,このような動きを総称して“看護業務拡大の動き”,そのような業務を担う職種を仮に広い意味でのNPと定義しておく。しかし,医師,看護師の双方からこのような動きへの嫌悪感も提出され3,4),先行きはまだまだ不透明であると言わざるを得ない。
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