連載 看護と医療政策を考えるヒント・2
ナースプラクティショナー
松村 啓史
1,2
1テルモ株式会社
2厚生労働省中央社会保険医療協議会
pp.372
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101465
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- 文献概要
昨年末,政府の規制改革会議において「規制改革のための第三次答申」が出されました。このなかで医療分野の項目には,「医師と他の医療従事者の役割分担の推進」という方針があげられ,看護師の専門性を高めた職種(ナースプラクティショナー)の検討が盛り込まれていたことはご存知かもしれません。難しいテーマではありますが,まずは現状で感じたことを述べたいと思います。
この動きの背景のひとつには,医師不足への対応策といった面があるでしょう。当面はアメリカにならってニーズの高い,助産師の役割拡大や小児科,麻酔科領域,救命救急医療への進出があげられています。もちろん大きな責任と権限を伴うことは認識していなくてはなりません。とはいえこれは日本の医療の本質を大きく変革する可能性を秘めています。つまり,医療における看護領域の拡大です。いまこそ患者さんの視点で医療全体のあり方を見直し,ナースプラクティショナーの役割と方向性を考えるべきではないでしょうか。もしミニドクターと混同されれば,結果的に診療科の隙間をますます拡げてしまうことにもなりかねません。看護師とは,あくまで患者さんに寄り添い,専門性を発揮し医療のハーモニーを司るコンダクターなのですから。
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