連載 医者ときどき看護師・21
医者ときどき患者の家族
平林 大輔
1
1(社)地域医療振興協会・東京北社会保険病院
pp.898
発行日 2009年9月10日
Published Date 2009/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101581
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先日,朝から30℃を超えていた週末の昼過ぎ,実家から電話がかかってきた。何かと思えば,外出先から帰ってきた父親の言動がおかしいとのこと。名前は言えるが日付が言えず,自分がどこに行ってきたのかもあやふやで,どうしたものかという内容だった。脱水による一過性の脳虚血だろうと思ったが,脳梗塞の可能性も否定しきれなかったので,MRIが撮れそうな病院の救急外来に電話をして受診するように話をした。結果,明らかな異常所見は認めなかったものの,見当識障害と健忘の症状が出ていることから,大事をとって入院することとなった。
要は経過観察目的の入院だったのだけれど,その晩,「トイレに行くときはナースコールを」という話をされていたにもかかわらず勝手に行ってしまったということで,ベッドに抑制されてしまった。よくある話ではあるし,事前にきちんと説明を受けて同意書にもサインをしていたとのことなので別に構わないのだが(本人にとっては構わなくなかったかもしれないが……),久々に「患者の立場」というものに立ち返って,いろいろ考えさせられるきっかけとなった。
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