臨床メモ
"ときどきいやーな感じ"という訴え
春日 豊和
pp.113
発行日 1969年1月10日
Published Date 1969/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202528
- 有料閲覧
- 文献概要
"ときどきいやな感じ"という訴えは学生時代のノートにも,成書にもただの1行も記載されておらず,またこの訴えに対する解釈もなんらなされていないのが実際である.またこの訴えはたいへん主観的な訴えで,統一された概念ではない.訴えの内容に関する個人差や地方差にもかなりの差異があるものと思われる.したがってかかる訴えをどう解釈し,どうこれに対処すべきかではなくて,どう対処しているかを述べるのが妥当であり,したがってささやかな自分の臨床の場からする経験的事実のみを申しあげたい.
外来で,かかる訴えを聞くことはまれではない.この訴えが単一愁訴として聞かれる場合と複数愁訴の1つとしての場合とがあるが,紙数の関係でこまかいことは省略する.私はかかる訴えをする患者の病態病因を従来の経験から3つの群に分けえられると思う.この訴えのしくみは一過性の血管系の反応と解するが,第1として循環系の機能的,ないし器質的な因子による場合,第2として心因(精神面)ないし自律神経系を中心とする因子,第3はこれらにはいらない機能的,ないし器質的な疾患による場合の3つである.もちろん,1,2の因子が相互にからまり,組み合わされてかかる訴えの因をなしていることがあることはいうまでもない.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.