【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第20話
患者から学ぶ医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.1447-1452
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203486
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
患者は80歳・女性、卵巣がんの末期で腹膜播種を伴い、アルコール性肝硬変や種々の合併症で入退院を繰り返している。今回の入院契機は蜂窩織炎で、担当医の五明が採取した血液培養からグラム陽性球菌が発育した。筧はそれを「G群溶血性レンサ球菌」だと一早く見抜き、抗菌薬治療が奏効しつつあった。CRPの改善を無邪気に喜ぶ五明だったが、黒野は「Dダイマー」の値を気にしており、はたして患者は急変した。肺塞栓を起こしたのだ。思わぬ事態にとまどい、呆然とする五明だったが…。
前回の終盤、時が巻き戻った。今回は、患者が肺塞栓を起こす、その前からのリプレイである。治療がうまくいっている時、思わぬピットフォールに陥ることがある。実際には取り返しがつかないが、「もしもあの時…」を読んで体験してみてほしい。悩める初期研修医たちに知らずと道を示す、患者の言葉にも注目したい。時に患者は、医師を導く者である。
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