特集 看護記録の質向上のために何ができるか
裁判で問題となった看護記録の記載内容
奥山 絢子
1
,
前田 正一
2
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
2東京大学大学院医学系研究科医療安全管理学講座
pp.284-287
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101173
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
看護学の分野においては,これまでにも看護記録の適正さに関して研究が進められてきた1,2)。それらの先行研究では,看護記録に実施した看護の内容が記載されていないこと2-5),記載内容が看護師個人の裁量に任されているため,人によって必要項目が記載されていないことなどが指摘されている6)。このような状況にもかかわらず,看護師養成課程における記録に関する教育では,具体的に何をどのように記載しておく必要があるのかといった記載方式や,記載の問題点,またそれが生じる原因に関して教育が十分に行なわれていない7,8)。つまり,こうした状況が,適切な記録の作成がなされない背景となっているものと考えられ,また医療事故や紛争の一因ともなっているものと考えられる。
そこで今後の記録のあり方を探索するためにも,本研究では,過去の判例を通して看護記録のどのような記載が患者側と医療者側との間で争いの要因となっているのか明らかにする。また,その際,問題点を踏まえた看護記録の在り方について簡単に考察する。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.