特集 倫理的実践を支える看護管理者の役割
看護部倫理委員会による現場の変化と課題
中川 典子
1,2
,
中辻 浩美
1
,
山崎 早苗
1
,
中島 すま子
1
1京都第二赤十字病院
2京都第二赤十字病院看護部倫理委員会
pp.196-201
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101152
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倫理にもとづいて看護が実践できる風土形成をめざして
京都第二赤十字病院(以下,当院)の看護部は,赤十字の原則である「人道(Humanity)」「公平(Impartiality)」「中立(Neutrality)」を基盤とし,人々の尊厳と権利を尊重し質の高い看護ケアが提供できるよう努めている。しかし疾病構造の変化や高齢化に伴い,看護者からは身体拘束が必要な患者への対応や患者本人の意思より家族の意向が優先されてしまったケースの相談,患者からは権利意識の高揚に伴う医療者の説明不足や対応に対する苦情など,倫理的な要素を含むさまざまな問題が表出するようになってきた。
そうした現状のなか,2005(平成17)年の病院機能評価受審を契機に,当院看護部では看護ケアの質評価を看護部目標に掲げ(表1),その一環として看護者が倫理にもとづいて看護が実践できる風土形成をめざし,取り組みを始めた。その背景には,病院倫理委員会の活動が治験の審査が中心で,臨床倫理の検討が行なわれていなかったこと,看護者が倫理的な問題に対して適切に対応できるようになるためには,個々の看護者の努力のみでなく組織的な取り組みが不可欠だという看護部長の考えがあった。
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