連載 Clinical Ethics—臨床倫理について考える・10
現場主導の倫理委員会活動へ—看護部の果たす役割
高嶋 妙子
1
1聖隷浜松病院
pp.966-969
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905691
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はじめに
患者の人権擁護が最優先される医療提供体制整備は,決して生やさしいものではないことをますます痛感する日々である.医学が発祥した古代から築き上げてきたパターナリズムであっても,主体のとらえ方という根本の視点さえ変換すれば自然に全体体制を再編成できるであろうと考えたことは,ワープロに毒された幻想であったかもしれないなどと独語している.パターナリズムは私たち医療人に限らず患者・患者家族など,国民の個々の細胞のすみずみにまで染み透っており,あらゆるところに顔を出すようだ.
このような状況の中で新GCP,臓器提供病院の拡大等々,新体制づくりへの具体的課題は次々とつきつけられてくる.しっかりと地に足をつけておかないと,それらに振り回されて,結局所轄官庁に提出する文章づくりだけに必死になっているうちに,実を伴わないことになっていたともなりかねない.時代が大きく変わりつつあることは事実であるが,それが真に患者にとって,国民にとってよりよいことになるために,ここでも看護職が果たす役割は大きい.
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