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入門講座 研究倫理は難しいと思っているあなたに読んでもらいたい 研究倫理の基礎知識・3
倫理審査委員会
Research ethics committee
神里 彩子
1
Ayako Kamisato
1
1国立成育医療研究センター研究所医事法制研究部
1The Research Institute, National Center for Child Health and Development
キーワード:
倫理審査
,
一括審査
Keyword:
倫理審査
,
一括審査
pp.739-745
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203164
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言うまでもなく,患者や家族の身体的・精神的な生活の質(quality of life:QOL)の向上や,患者の復職を含めた早期の社会復帰,そして,高齢者の健康寿命の延伸の実現などにおいて,リハビリテーションの役割は大きい.一方で,リハビリテーションは患者の身体に直接的な影響を及ぼす医療行為であることから,当然,安全性や有効性が担保されていなければならない.リハビリテーション領域では,その担保を医師その他医療者の経験則に頼ることが多かったが,エビデンスに基づく医療の提供が求められる現在,人を対象とする研究,すなわち「臨床研究」が必要かつ重要となっている1,2).
臨床研究を行おうとする場合,後述する一部の例外を除いて,研究を開始する前に,あるいは研究計画を変更する前に,一般に「倫理審査委員会」と呼ばれる第三者組織において,当該研究計画の科学的妥当性および倫理的妥当性の審査を受けなければならない.研究を開始または変更したいと思っても即座に行うことができないため,倫理審査制度が研究活動を妨げていると感じる研究者も少なからずいるだろう.とりわけ,倫理審査委員会の「承認」が下りるまでに,長い時間と多くの手間を要した苦い経験のある研究者ではその思いが強いだろう.しかし,倫理審査は,研究者にプラスの側面もある.また,通常よりも時間と手間を要しているケースには,研究者側に要因がある場合もある.倫理審査制度と上手に付き合っていくことが,適切な臨床研究を迅速に行ううえで重要だ.
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