特集 ITの導入で看護業務をどう変えるか
病院情報システムの進化から見えてきた看護業務の効率化と安全性向上
村上 典子
1
1財団法人津山慈風会津山中央病院リスクマネジメント室
pp.429-434
発行日 2003年6月10日
Published Date 2003/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100843
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はじめに
病院情報システムや看護情報システムといえば,大学病院をはじめとする大規模病院のものという感があったが,ここ数年で中規模病院にも導入されるようになった。これは,1999年に当時の厚生省が電子データによる診療録の保存を認めた後,政府はe-Japan戦略を策定し,「2006年までに全国400床以上の病院の6割以上に電子カルテシステムを普及させる」という目標を設定していることも影響しているだろう。
津山中央病院(以下,当院)は,1954年に財団法人津山慈風会により設立され,369床の総合病院として運営してきた。津山市には市民病院がないことから,当院は地域中核型病院の役割を果たすためにより一層の機能拡充を目指して,1997年に民間としては初めて国立療養所(津山病院)の委譲を受け,並行して新病院の建設に着手した。1999年12月の新築移転に伴い,救命救急センターを設立し,最新の医療機器を整備すると同時に,電子カルテを核とした病院総合情報システム(HIS;Hospital Information System)を本稼働させた。以来,3年あまりが経過し,この間にシステムの修正・改善,情報インフラ整備等を行ない,システムを進化させ続けてきている。IT化によってもたされた病院の変革による成果は大きいと実感している。
本稿では,1997年からのシステム開発に携わり続けている立場から,当院の病院総合情報システムと,看護情報システムの実際および今後の展望について述べる。
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