実践報告
電子カルテシステムを活用した業務の効率化—情報担当看護師による退院支援に関する取り組み
中谷 安寿
1
,
谷浦 葉子
1
,
村田 泰三
2
,
平尾 幸美
1
,
岩崎 朋之
1
1大阪大学医学部附属病院看護部
2大阪大学医学部附属病院医療情報部
pp.236-241
発行日 2025年3月10日
Published Date 2025/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350030236
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はじめに
厚生労働省は2024年4月より,医師の働き方改革として,医師の負担を軽減しつつ良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の構築を目指したタスク・シフト/シェアを推進している1)。しかし,入院期間の短縮に伴う業務量の集中,ケアニーズの増加や看護師の人員不足,新型コロナウイルス感染症への対応による労務負担・精神的負荷の増大など状況は厳しく,タスク・シフト/シェアによって看護師が専門性を発揮するためには,従来の看護業務の大幅な効率化が喫緊の課題であり2),看護管理者には早急にその解決が求められている。業務を効率化するには,日々膨大なデータが蓄積されている電子カルテシステムの有効活用が1つの手段であり,新たな費用をかけなくてもその成果を得ることが可能である。
大阪大学医学部附属病院(以下,当院:表1)において,筆者(中谷)は情報担当の役割(病院情報システムの改変,データ分析・活用など)を副看護師長として担っており,さまざまな業務の効率化に既存のシステムを活用してきた。その活用例としては,看護記録量的監査の自動化3),倫理カンファレンスの活性化,看護必要度の適正入力の評価4),クリニカルパスの推進5)が挙げられる。その他にも,継続看護が必要な患者一覧表の作成,退院サマリーやインフォームド・コンセントの記録の登録状況の自動監査などの活動を組織横断的に行ってきた。本稿では,業務の効率化に向けた退院支援に関する取り組みを紹介する。具体的には,関連情報の一画面への集約,退院支援の検討が必要な患者の有効な抽出,記録間の情報の相互連動について述べる。

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