特集 ITの導入で看護業務をどう変えるか
電子カルテ導入を契機とした組織のリエンジニアリング―必要なのは看護の意識改革
水流 聡子
1,2
,
溝上 五十鈴
2
,
才野原 照子
3
,
津久間 秀彦
4,5
,
渡橋 和政
6,7
,
小西 央郎
8
,
石川 澄
4,5
1広島大学医学部保健学科
2広島大学医学部附属病院看護部
3広島大学歯学部附属病院看護部
4広島大学大学院医歯薬学総合研究科・展開医科学専攻・病態情報医科学講座
5広島大学医学部附属病院医療情報部
6広島大学大学院医歯薬学総合研究科・展開医科学専攻・病態制御医科学講座
7広島大学医学部附属病院・胸部心臓血管外科
8広島大学医学部附属病院周産母子センター
pp.420-428
発行日 2003年6月10日
Published Date 2003/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100842
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病院情報システム構築の背景
大きな社会問題となっている医療費の増大は,さまざまな医療制度改革に拍車をかけています。入院医療費を抑制するため,在院日数短縮へ向かうような診療報酬体系の改定がここ数年間で顕著に進み,目標在院日数は25日,20日,2週間と,病院そして職員の中に意識化されてきています。病院の減収を回避すべく在院日数短縮を実現するためには,病院間,病診間,病院-在宅間で,効率的・効果的な連携が必要となり,その際,患者情報の共有を通した相互の調整作業が必要となります。また,医療経営条件の厳しさに加え,医療サービスの質そのものへの評価も厳しくなり,医療安全,医療サービスの質保証,診療録等の患者への開示,患者中心の医療,患者参画型医療等という要求に,われわれ医療従事者は応えていかなくてはなりません。
このような社会情勢の中で,2004(平成16)年度からの独立行政法人化を目前に控え,国立大学の医学部・歯学部附属病院は,大学組織とともに,大きな組織改革の渦中にあります。筆者らの所属する病院(以降,H大学病院)もその例にもれず,診療以外に教育・研究面での社会貢献もしなければ,存在価値を主張できません。独立行政法人化までに,病院内外の改革をどこまで進められるか,その後も改革を継続していけるか,そのための人的・物的・予算・情報資源を整備しなければならず,それらの資源をより効果的・効率的に活用するための組織化・運用体制の構築が必須です。
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