特集 トータル・クオリティ・マネジメントを目指し支える組織づくり
[対談]TQMを目指す病院の組織づくり―済生会熊本病院はいかに病院改革を進めたか
井部 俊子
1
,
正木 義博
2
1聖路加国際病院
2済生会熊本病院
pp.6-13
発行日 2003年1月10日
Published Date 2003/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100762
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病院改革の第一歩
リーダーシップを発揮させるための権限委譲
井部 今日は,トータル・クオリティ・マネジメント(TQM)という,医療の質,病院経営上の質,医療におけるさまざまな総合的な質の管理を目指す組織づくりがテーマです。正木さんは,他産業から医療界に入り,非常にパワフルに病院改革を進めてこられました。そして,今年,病院にTQMセンターを開設したということです。かたちだけならともかく,ここまで組織を引っ張ってくるのは並大抵の努力ではないと思います。一口に質管理と言っても,医療における1つ1つの場面には,実にさまざまな側面があって,なかなか標準化しにくいこともありますが,これからの医療の目指す方向としてのTQMとそれを支える組織づくりについて,話を聞かせていただきたいと思います。
正木 私が済生会熊本病院に来たのは1995(平成7)年のことです。ちょうど新築したばかりで多額の借金を抱えながらのスタートで厳しい年でした。これから「医療のビッグバン」が来るぞという話がもちあがっていた時期でもあります。それまで,何の心配もしていなかった職員たちが,少し危機感をもったのがこの頃です。現院長の須古先生に交代することが決まったときに,今までの医療界とは違った知識をもった人間を入れたいということで私が呼ばれたのです。
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