特集 事故後の対応を考える
安全・安心・納得の医療をふまえて
事故後対応のための院内訓練の実際―名古屋第二赤十字病院の取り組み
江上 菊代
1
,
奥村 百合子
1
,
加藤 道子
1
,
杉浦 かずみ
1
,
伊藤 安恵
1
,
片岡 笑美子
1
1名古屋第二赤十字病院看護部事故防止対策委員会
pp.129-134
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100663
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はじめに
医療現場で働く看護師にとって,患者の急変や事故は避けて通れない。しかし,不幸にして事故が起きてしまったとき,私たち看護師には冷静かつ的確な判断と迅速な対応が求められる。そのためには日頃からの訓練と心構えが重要である。
名古屋第二赤十字病院(以下,当院)では,2001年から全職員を対象にリスクマネジメント研修・講演会など,医療安全に対する職場教育を積極的に実践している(表1)。そして看護部の取り組みとして,事故防止対策委員会を中心に,2001年から「医療事故発生時の対応」というテーマで部署ごとに模擬事例のシミュレーション訓練を実施してきた。本誌(2004年3月号,第14巻第3号)にその実践内容・改善策などを紹介した。その訓練も今年度で6年目を迎える。
この間,シミュレーションの内容も少しずつ変わり,看護部だけの取り組みが医師をはじめ多くのコメディカルの協力を得て,病院全体の取り組みへと変わってきた。成果は着実に上がってきており,看護師の急変・事故に対する意識も高まり,看護師一人ひとりの自信につながっている。また,それと同時に教育にも力を入れ,救急看護認定看護師による「救急看護シリーズ」を中心にいろいろな教育を実践している。これらの取り組みは全国の赤十字病院にも紹介され,最近は訓練の見学や講演の依頼も多い。
本稿では,5年間の訓練の経過と成果,訓練から学んだ対応策などを紹介する。
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