特集 癌治療のプロトコール—当施設はこうしている
Ⅷ.甲状腺癌治療のプロトコール
名古屋第一赤十字病院・外科
加藤 万事
1
,
服部 龍夫
1
,
小林 陽一郎
1
,
宮田 完志
1
,
米山 文彦
1
,
西尾 秀樹
1
Makoto KATO
1
1名古屋第一赤十字病院外科
pp.222-228
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904276
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術前診療のプロトコール
甲状腺癌の予後は図1に示すように分化癌と未分化癌では全く異なるため,常にこの両者は区別して考えざるをえない.また分化癌において腫瘤径が5cm以下で隣接臓器浸潤を伴わないT1, T2症例では当科ではこれまでに死亡例を経験していない(図2).さらに病理学的リンパ節転移の有無も予後に影響は認められず,むしろ周囲組織へ浸潤する顕性リンパ節転移を伴うN3症例であるかどうかが臨床的に重要である(図3).すなわち,甲状腺癌の中には,①臨床的にほとんど悪性の態度をとらないT1, T2NOの分化癌と,②他の癌と同様に外科医が再発させないよう治療戦略を熟慮すべきT4orN3分化癌と,③現在の医学ではいまだ全く治療法のない未分化癌の3者が存在することを十分に意識した上で,診断,治療を進めていくことが肝要である.
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