特集 事故後の対応を考える
安全・安心・納得の医療をふまえて
【インタビュー】日本看護協会が取り組む事故当事者および看護管理者への相談・支援
楠本 万里子
1
,
佐々木 久美子
2
,
平林 明美
3
1日本看護協会
2日本看護協会事業開発部
3日本看護協会出版会「看護職賠償責任保険制度」サービス推進室
pp.120-128
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100662
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事故当事者への支援の取り組み
――いま,医療事故報道が増えているなかで,看護師が当事者になることが多くなっています。それに対する日本看護協会の取り組みについてお聞きしたいと思います。
楠本 社会を揺るがすような医療事故が続発し,特に看護師が当事者になることが多いという状況への対処が必要だということで,日本看護協会(以下,当協会)は2001(平成13)年に医療・看護安全対策室をつくりました。
当初は医療安全の有識者が発信する情報や,国の報告,新聞の事故報道を集積して,情報提供をしていました。そのようなか,1999(平成11)年に起こった横浜市立大学医学部附属病院(現横浜市立大学附属病院)の患者とり違え事故の一審判決で衝撃を受けました。判決は,チーム医療を提供している限りチームすべての人に同等の責任があるのだと,患者を運んだ看護師と,実際に間違って患者を手術してしまった医師が同等の責任を問われ,しかも患者を受け入れ手術室に運んだ看護師が「きっかけをつくった」としていちばん重い禁錮刑だったのです。これを受けて,神奈川県看護協会や同病院の職員組合とともに,当事者を支援していこうという動きになりました。それが有識者の力も借りて意見書を出すなどした結果,減刑になりました。それが,いまに至る看護師の支援活動のスタートです。
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